八坂神社
参道である祇園商店街をまっすぐ行くと道路の真前にあります。「祇園さん」「八坂さん」として親しまれ、境内にはいくつものお社があります。
京都三大祭の一つ「祇園祭」やその中でも森見作品で出てくる「宵山」は八坂神社の祭礼で、平安時代の貞観11年に疫病が流行し、国家安寧や疫病消除を願ってはじまった歴史あるものです。
また、「有頂天家族」のラストでみんなで初詣に出かけた神社です。
あんまり気分が良いので、我々は家族で連れ立って八坂神社へ出かけることにした。下鴨神社には毎年お参りしているが、八坂神社へ出かけるのは父があの世へ行って以来のことである。
我々は清々しい陽射しに照らされた鴨川の土手を歩き、出町柳駅から京阪電車に乗った。
四条大橋のたもとに立つと、四条河原町から祇園、八坂神社にかけては初詣客でごった返していた。
ー「有頂天家族」p.408
俺に馴染みのある祭りというのはせいぜい地元の神社の縁日ぐらいだが、そういうところでは祭りの中心がその神社であることはすぐ分かる。だが、この宵山というものは、どこに祭りの中心があるのか分からない。祇園祭というからには八坂神社が本拠地なのだと理屈では分かっても、縦横無尽に祭りが蔓延して、どちらの方角に八坂神社があるのかさえあやふやである。祭りがぼんやりと輝く液体のようにひたひたと広がって、街を呑みこんでしまっている。
ー「宵山万華鏡」『宵山金魚』p.64

祇園八坂神社の界隈は、すっかり夜の風情が漂っていた。
八坂神社の石段下から、四条通に沿って賑やかな明かりが連なっている。四条から南へ延びる花見小路は、人間がたくさん行き交っているので、そこから西へ外れた人気の少ない細い路地を辿っていった。表通りから入りこんだ祇園界隈はひっそりとしており、私が自転車を走らせてゆくと、料理屋の明かりが夢のようにぼんやりと輝きながら、すいすいと後ろへ流れてゆく。
ー「有頂天家族」p.68


